水を一滴も使わない「究極の洗浄」
5月の森が提供する「天然の界面活性剤」と「研磨剤」
ASH
Waterless Lab
Mastering Lye Reaction in the Wild
サバイバルにおいて、水は「飲むもの」であって、洗うためのものではありません。ギトギトの油汚れが付いたシェラカップを、冷たい水と貴重な洗剤で洗うのはもうやめましょう。5月のフィールドには、洗剤よりも強力で、かつ環境を汚さない**「灰」と「草」**のシステムがあります。
1. 灰の化学:油を「石鹸」に変える
焚き火の跡に残る白い灰は、強力な**「アルカリ性」**を持っています。これが油脂と反応すると、化学的に石鹸へと変化します(ケン化反応)。
【手順】皿がまだ温かいうちに、白い灰を一掴み振りかけます。少量の水(あるいは唾液でも可)を加え、指でこねるように塗り込みます。すると、油のベタつきが消え、ヌルヌルとした感触に変わります。これが汚れが剥がれたサインです。
2. 草と土の物理:天然のスクラバー
仕上げに、周囲にある素材で拭き上げます。
- ● 枯れ草・わら: 繊維が網目状になっているため、灰の成分と一緒に汚れを絡め取ります。
- ● スギナ: 以前の記事でも紹介した通り、ケイ素を多く含むため、天然の「スチールウール」として極めて優秀な研磨力を発揮します。
- ● 落ち葉: 仕上げに数枚で皿を拭うだけで、灰のアルカリ分を除去し、料理の匂いも中和します。
Survival Point: 灰の「粒子」に注意
炭の塊が入っていると、アルミ製のクッカーは傷がつきやすくなります。できるだけ細かく、白い「完全燃焼した灰」を使うのがコツです。また、強アルカリは肌を荒らすため、手が弱い方は手袋をするか、作業後に酢やカタバミの汁(酸性)で手を中和してください。
Waste Nothing, Clean Everything.
森で火を焚き、森で食事をし、その跡形を残さない。灰で汚し、灰で洗うという「巡り」を体験したとき、あなたのブッシュクラフトは哲学の域に達します。
