ニワトコ:天使と悪魔が同居する樹
5月の採集で絶対に間違えてはいけない「毒」と「薬」の境界線
Sambucus Sieboldiana
Medicinal Power vs Cyanogenic Glycosides
ハリー・ポッターの「ニワトコの杖」で知られる木ですが、実物は5月の山野でごく普通に見られる落葉低木です。春に咲いた白い花が、この時期から急速に赤い小さな実へと変わります。ニワトコは**「接骨木(せっこつぼく)」**という別名の通り、骨折や捻挫の薬として使われてきた歴史がありますが、不用意に口にすると重篤な中毒を引き起こす危険な側面も持っています。
絶対に覚えるべき「毒」の箇所
主な毒性分:シアン原性配糖体(サンブニグリン等)
- ● 若葉・新芽: 天ぷらにして食べる地域もありますが、生食や不十分な加熱は嘔吐・下痢を招きます。初心者は避けるべきです。
- ● 樹皮・幹: ここが最も薬効(接骨)がある反面、毒性も最も強い箇所です。
- ● 実の「種」: 赤い果肉自体は食べられますが、中の**種には毒があります**。ジュースにする際は、布で濾して種を完全に取り除く必要があります。
Survival Utility:5月の薬効活用
リスクを理解した上で、その驚異的な治療力を活用する。
- ● 骨折・打ち身の湿布: 枝を乾燥させて刻んだものを水で煎じ、その汁をガーゼに浸して患部に当てます。これが「接骨木」の名の由来です。
- ● 風邪・利尿作用: 乾燥させた花(5月に残っていれば)をお茶にすることで、発汗を促し熱を下げる効果があります(西洋のエルダーフラワーと同じ属です)。
Survival Check: 「赤」の誘惑に負けない
森の中で喉が渇いている時、ニワトコの赤い実は非常に美味しそうに見えます。しかし、知識なしに口に放り込むのはギャンブルです。サバイバルとは「飢えない」ことではなく「死なない」こと。確信が持てない植物は、たとえ目の前にあっても手を出さないのがプロの矜持です。
Distinguish for Life.
Nature provides, but it also tests. In May's bounty, the difference between a remedy and a toxin is found only in the library of your mind.
