刺客の触手:海の有毒生物
「洗えば直る」という油断を、物理的処置で上書きしろ
Venomous Tentacle Response
Cnidocyte Burst Prevention
青く透き通った夏の海に潜む、見えない毒針。アンドンクラゲや、鮮やかな青色をした「カツオノエボシ」に刺された時、パニックになって「真水」をかけることは科学的な敗北です。真水は毒針の入った細胞(刺胞)を刺激し、残りの毒を一気に身体へ注入させてしまいます。
Protocol: 刺された瞬間の初動「3KS」
- 1. 海水で流す (Kaisui): 真水は厳禁。執拗に海水で流し、表面の触手を浮かせるように取り除きます。
- 2. カードで削ぎ落とす (Card): 触手が残っている場合、素手で触るのは二次被害の元です。クレジットカードやプラスチックの板を使い、一定方向に優しく「削ぎ落とし」ます。
- 3. 酢を確認 (Su): アンドンクラゲには「酢」が有効ですが、カツオノエボシには逆効果(毒を発射させる)になります。種類が不明な場合は、まず海水洗浄を最優先してください。
The Difference: 温めるか、冷やすか
「タンパク質の毒には、熱を」。 多くのクラゲ毒やオニヒトデ、ゴンズイの毒はタンパク質成分です。触手を取り除いた後、43度〜45度の(火傷しない程度の)お湯に30分浸けることで、毒素が失活し痛みが劇的に和らぎます。冷やすのは、大きな痛みが引いた後の二次的な炎症を抑える時だけです。
Essential Survival Rule: アナフィラキシーへの警戒
二度目以降の刺傷は特に危険です。刺された直後に、嘔気(吐き気)、呼吸困難、全身の蕁麻疹が出た場合は、一刻を争う「アナフィラキシーショック」の可能性があります。応急処置を続けながら、即座に119番通報を行ってください。海辺のサバイバルは、常に病院へ辿り着くための時間との戦いです。
Neutralize the Toxin, Stabilize the Pulse.
海と戯れることは、その毒性と共通知識(プロトコル)を持つこと。
