気圧に抗う白米:メスティン・サバイバル
サバイバルの質は、胃袋を満たす「熱量」の温度で決まる
Atmospheric Steam Pressure
Boiling Point recalibration at 2,500m
「なぜかご飯が硬い」。高地キャンプでの失敗は、料理の腕ではなく物理現象によるものです。標が高まるにつれ、空気の重みが減り、水は100度に達する前に沸騰を開始してしまいます。十分な熱が米の芯に届かないこの現象を、サバイバーは知恵(重力と断熱)で突破します。
Mechanism: 沸点降下との戦い
標高が300m上がるごとに沸点は約1度下がります。日本アルプス級の3000m地点では、水の沸点は約90度。この「ぬるい沸動」を補正する必要があります。
- ● 浸水時間を2倍に: 気圧が低いと、乾燥した米に水が浸透するのも遅くなります。通常30分のところ、山では1時間は水に浸けてください。
- ● メスティンに「石」を置く: 蓋の上に重い石を載せることで、内部の圧力を強引に高めます。蓋がカタカタ鳴って蒸気が逃げるのを防ぎ、内部の温度を極限まで引き上げます。
- ● 水を1割多く: 高山は乾燥しており、加熱中の蒸発量も多くなります。下界より少し多めの水加減が成功の鍵です。
Tactic: 「逆さま蒸らし」の断熱効果
「火から下ろしたら即座にタオルの宇宙へ」。 炊き上がったメスティンを裏返し、タオルや保冷バッグに入れ、さらにダウンジャケット等で包み込みます(コジー)。裏返すことで底に溜まった水分を全体に回し、高い断熱材で包むことで、余熱による「最後の調理」を完遂させます。山での食事は、栄養補給だけでなく、極限状態でのメンタルを正常に保つ最強の儀式なのです。
Essential Survival Rule: 燃料の管理は「余熱」で
高所では酸素が薄いため、ガスバーナーの燃焼効率も落ち、湯沸かしにも時間がかかります。貴重なガスを節約するため、パスタや麺類を茹でる際は、沸騰したら火を止め、蓋をして放置する「余熱調理」を徹底してください。燃料を使い切ることは、夜の暖を取る手段を失うリスクを孕んでいます。
Heat Management, Heart Satisfaction.
物理法則を知ることで、標高3000mの頂でも「家の味」を再現できる。
