Preservation Mastery / Year-round Foraging
「時」を、
乾燥で止めろ。
ワラビの灰汁抜きと乾燥保存:旬を時間に刻み込み、一年後の自分へ贈る技術
The Engineering of Culinary Dehydration
The Science / 灰汁抜きは「分解」のプロセス
ワラビに含まれる発がん性物質プタキロサイド。 これを無害化し、かつ素材のシャキシャキした食感を残すには、適切なアルカリ処理が不可欠です。 単に茹でるだけではアクは抜けません。 木灰、あるいは重曹を使い、細胞壁を適度に緩めてアクを抽出させる。 そして、太陽の力で水分を抜き、旨味を凝縮させる。 この静かな時間の重なりが、冬の食卓に春を呼び戻します。
Protocol / 失敗しない灰汁抜きと乾燥の工程
1
「浸透」:重曹をまぶし、熱湯で閉じる
ワラビを並べ、重曹を全体にまぶします。そこへ沸騰したての熱湯を、ワラビが浸かるまで一気に注ぐ。あとは新聞紙等で蓋をし、常温で一晩置くだけ。沸騰させ続けると溶けてしまうため、『予熱』でアクを抜くのがコツです。
2
「脱水」:天日に晒し、黒い宝石を作る
アク抜きが終わったワラビを水洗いし、ザルに広げて天日干しにします。3〜4日、完全にカリカリになるまで。水分が残っているとカビの原因になります。乾燥したワラビはまさに『保存食の王』。ジップロック等で暗所に保管すれば1年は余裕で持ちます。
3
「再生」:一晩じっくりと戻す儀式
【重要】食べる時は、ぬるま湯に浸して一晩かけ、ゆっくりと戻します。急激に熱を加えると中心が硬いままになります。戻したワラビは、生の時よりもコクが増し、ナムルや煮物、あるいは汁の具として、驚くほどの存在感を放ちます。
